太田の北の端、原宿町葉鹿橋の近くの渡良瀬川に小股川が流れ込む。その上流にそびえるのが石尊山(486m)である。
信仰の山として知られ、足利市の民族文化財に指定されている「梵天揚げ」は勇壮な祭りである。月遅れの盆8月14日の早暁、心身を清めた地元の若者達によって、山伏のほら貝を合図に、15メートルもあるお柱(杉丸太)と幣束(梵天)を一気に山頂まで担ぎ上げ、組み立てる。それを日の出とともに打ち立て、石尊宮に奉納するのである。
安永8(1779)年7月の高山彦九郎は野州小俣行の中で「下野国足利郡小俣村石尊神祠へ詣ツ…原宿と□□出ツここも宿並なる里也、□□渡瀬川の浅瀬をわたる、葉鹿のわたしと号す、葉鹿の宿に到る是より鶏足寺までまた一里」と記している。
麓の鶏足寺は千二百年の歴史を誇り、平将門による寺号の由来が伝わる由緒ある名刹である。 |
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