太田から南西73キロ、奥秩父の甲武信ヶ岳と破風山の間に木賊山(2469メートル)が望める。
頂上の三等三角点の名は「破風」となっており、左に続く尾根の破風山の点名を「破不山」とさせた、いわくのある山でもある。京都の祇園祭の山鉾32基の1つにその名がある。謡曲「木賊」刈りの翁の舞台は信濃であり、何やら所縁を覗わせる。ここ太田からは見えないが、その向こうにゆったりとした姿の奥秩父最大の山容をほこる国師ヶ岳(2592メートル)がある。武田信玄の菩提寺で知られる塩山乾徳山恵林寺の開祖「夢窓国師」の修行伝説から、あるいは大山祇神が任じられた東国の国司などによる山名の由来がある。また、すぐ南は奥秩父の最高峰、北奥千丈岳(2601メートル)である。双方の頂上からは眼下の深遠な渓谷の広がりとともに西に甲斐駒ヶ岳から白峰三山を、南に雄大な富士山を雲海のかなたに望める。
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