太田から西南西72キロ、東京と山梨との県境の三頭山(1531メートル)が望める。
御堂山、見遠山とも呼ばれ東西の峰など三つの頂きがあるところからその名がある。戦国の世、武田氏滅亡のおり信玄の娘松姫がこの山を越えて落ち延びたという。
頂上付近には三頭御前と呼ばれる石の祠がある。眼下に見える奥多摩湖は昭和32年完成した小河内ダムにより出来た人造湖で、東京都民の水瓶である。♪夕日は赤し身は悲し/涙は熱く頬濡らす/さらば湖底のわが村よ…♪ダムで沈んだ旧小河内村を離れた人たちの、切ない思いを綴った東海林太郎唄う「湖底の故郷」は、全国を風靡した社会派歌謡である。大東京の水資源のために、家も田畑も墓も鎮守の森も犠牲となった649戸、三千人のお陰で、我々は今も安心して生活を謳歌できるのである。全国各地でダム不要論が喧しいが、一度この歌を聞かせて見たい。 |
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