太田から南南西の方角64キロ、秩父連山から続く奥多摩の山々の東端近くに、御岳山(1246m)が望める。
奥多摩を代表する山の頂にある「御嶽神社」は日本武尊が紀元前百九十年に創始したと伝えられており、関東有数の霊山として尊崇を集めてきた。「霧の御坂」と呼ばれる三百段の参道は古くからの講の名を刻んだ石碑が立ち並び、山岳信仰の深さを窺わせる。江戸城の守護神として、徳川幕府の手厚い加護を受けていたといい、門前は宿坊が建ち並び、往時を偲ばせてくれる。登山口のJR青梅線御嶽駅前には、日本画の巨匠「川合玉
堂」美術館がある。
また、日向和田駅を降りれば梅の名所、吉野梅郷である。「宮本武蔵」で知られる大衆小説家で文化勲章受賞者吉川英治は終戦直前、昭和十九年旧吉野村に疎開し、新平家物語などを執筆した。現在、旧住居がそのまま保存され、文学記念館となっている。 |
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